椎名誠 「にっぽん海風魚旅 怪し火さすらい編」
皆さんこんにちは。
今回ご紹介するのは、椎名誠「にっぽん海風魚旅 怪し日さすらい編」です。
この本は、雑誌「週刊現代」での、「海を見に行く」という旅の連載をまとめたものになっています。ページ数はおよそ300で、途中に挟まれる、現地の漁港や子供たちのカラー写真はどれもが「日々を生きている力」ともいうべき、飾り気のない美しさをたたえていて、近頃、怠惰な自粛生活を送っていた私にはとても眩しく感じられました。
自粛期間はお世話になりました
椎名誠と聞いて、私が真っ先に思い浮べるのが、「怪しい探検隊」シリーズです。多くの人は「岳物語」をイメージするのでしょうか?「怪しい探検隊」は、小学校低学年の頃、父の本棚にあるの見つけ、手に取ったのが出会いである、昔からの愛読書です。なんといっても「釣り」「酒」「キャンプファイヤー」の描写が魅力的で、私も将来、お酒を飲みながら釣りをして過ごしたいなあと、子供ながら憧れていました。また、コロナウイルスに依る自粛期間は、旅のエッセイなどを読みまくって、外出したいという欲求を押さえつけていましたが、「怪しい探検隊」シリーズは、その筆頭格でした。読んでいると、自身も宴会に参加しているような高揚感が湧いてくる、愉快な作品でありました。
海の幸がたくさん!
今作は、非常に「食」の描写が多いです。筆者の大好物であるハガツオをはじめ、タイやアナゴ、カンパチ、カサゴ、アワビやズワイガニ、アオリイカ、鋸ガザ三などの海鮮界における錚々たる顔ぶれが並びます。最後のガザ三ですが、日本では「ワタリガニ」の名称の方が有名かもしれませんね。イタリアンレストランで「ワタリガニのパスタ」はよく見かけても「ガザ三のパスタ」なんて表記は見たことがありません。
また、著者のエッセイに登場する料理は、極めてシンプルなものが多いと思います。捕れたばかりの新鮮な海の幸を、醤油や塩などをぶっかけて生で喰うというのは、ある意味最高の贅沢なのかもしれません。都心では、最上級の鮮度の魚介には、滅多にお目にかかれませんから。
それでは、良い読書ライフをお過ごしください
横浜市民は必見⁈ 横浜市全域が舞台 自分の居住区の土地神を応援しよう‼ 蜂須賀敬明『横浜大戦争』
本日ご紹介するのは、蜂須賀敬明著『横浜大戦争』です。
横浜市のそれぞれの区を担当する「土地神」が、横浜の中心地を決めるために「横浜大戦争」という熾烈な争いを繰り広げる、といった内容です。400ページほどの作品でしたが、読みやすい文体でしたので大体3時間くらいで読み終わりました。
横浜が舞台であることから、横浜市民からの関心は非常に高く、有隣堂横浜駅西口ジョイナス店では、週間売り上げ総合第1位に輝いたこともあるようです。実は、私も横浜住みでございまして、書店でこの小説の広告とあらすじを目にし、「ウチの区の土地神様はどのように描かれているのだろう?」と、たまらなく好奇心刺激され、即決で購入してしまいまったクチです。「ジャケ買い」とは、少し違うのかもしれませんが、本屋さんで、衝動的に購入するのはとても楽しいですね。
横浜の「名所」が盛りだくさん‼
「横浜大戦争」の名にそぐわず、横浜のあらゆるスポットが舞台となっています。物語はランドマークタワー68階のレストランで始まり、その後も、こどもの国や野毛山公園、横浜ベイブリッジなど、横浜市民にはなじみの深い、「名所」が続々と登場します。また、既に閉業してしまっている、戸塚のドリームランドも描かれており、懐かしさを感じる方も中にはいらっしゃるかもしれません。
非常にキャラの濃い土地神たち
「横浜大戦争」に身を投じることとなる、土地神たちですが、それぞれの区の特徴に合わせたキャラクター付けがされており、これがまた痛烈なものとなっています。さらに、土地神たちは一人につき一つ、「神器」と呼ばれる、マジックアイテムのようなものを所持しているのですが(封神演義の宝貝のようなもの)これも区や、その地域の施設を反映したものになっています。私は、バラエティーに富んだ登場人物らの個性がこの作品の一番の魅力であると感じました。横浜をよく知っている方であれば、この区はどんな描かれ方をするのかなあと想像しながら読むことをお勧めします。横浜というとランドマークタワーやみなとみらいを擁する西区ばかりを思い浮かべがちですが、この作品では18ある区すべてにスポットライトが当てられていて、普段は知ることのできない、新しい横浜の側面に気付くことができるのもこの作品の魅力のひとつです。
横浜の区制やその歴史を学べるという側面も
そもそも、この小説を読むまで、私は横浜市の区の数が18であることを把握していませんでした。また、港南区が南区から分かれた地域であるということも初耳で、20年近く住んでいても、知らないことはたくさんあるのだなあ、と痛感させられました。その後、この本を読み終えてから、18区を暗唱してみたのですが、なんとすべて覚えられていました!昨今は、元素を擬人化して暗記するテキストなどが存在しますが、それに近いものがありました。
それではみなさん、良い読書ライフお過ごしください
大学の友人から本が届きました‼ 三崎亜紀『廃墟建築士』
みなさんこんにちは。
ニュースでも連日報道されていますが、ここ最近は大変な猛暑でどうにも弱ってしまいますね。先日、ダイエット目的で12キロ歩いたのですが、最後の方はもうヘロヘロでした。2リットルの水筒と塩飴、そして日よけ帽子で熱中症対策は完璧だと思いこんでいましたが、どうにも甘かったようです。今年は格段の注意が必要ですね。皆さまもどうかお気をつけ下さい。
私がそうこうして、散歩をしている間に、大学の友人から自宅に本が届いていました。
それがこちらです
友人のおすすめの作品だそうで、どちらも読むのが非常に楽しみです。
三崎亜紀「廃墟建築士」
今回は写真の左側、三崎亜紀著「廃墟建築士」をご紹介します。こちらには、「七階闘争」「廃墟建築士」「図書館」「蔵守」の計4つの短編が収録されています。それらのどれもが、私達の住む世界とは一寸変わった様相を呈しており、読んでいて、4つのパラレルワールドを巡り歩いているような気分になり、気付いたら読了していました。合計で200ページほどで、凡そ2時間くらいかけて読んだでしょうか。楽しい時間というのは存外、あっという間に過ぎていくものですね。特に「廃墟建築士」などは既に表題からして面白さを感じ、「廃墟を建築する職業とは一体どういうことかしら?案外、芸術家に近い側面があるのかもしれないなあ。もしかしたら平家物語で語られるような無常観が根底にあるのかもしれないぞ」と、文章を読む前から色々と想像をかき立てられました。実際の「廃墟建築士」の実態については読んでからのお楽しみということで参りましょう。
それでは皆様、良い読書ライフを
読書ブログのような何かです よろしくお願いします
こんにちは。安泥と申します。しがない文系学生をやっています。
このブログでは、日々の読書の感想や、読書で得られた知見についてご紹介できればなと考えております。
読了した書籍の御紹介は、元々Twitterにて行っていたのですが、文字数制限に引っかかることが稀によくあり、今回ブログを開設する運びとなりました。
拙い文ではありますが、皆さまの日々の読書における、本選びの参考になれば幸いです。
よろしくお願いします。