泥の本棚

日々の読書の感想や、得られた知見等を書き連ねます。

椎名誠 「にっぽん海風魚旅 怪し火さすらい編」

皆さんこんにちは。

今回ご紹介するのは、椎名誠「にっぽん海風魚旅 怪し日さすらい編」です。

f:id:yasudoro:20200826100639j:plain

 この本は、雑誌「週刊現代」での、「海を見に行く」という旅の連載をまとめたものになっています。ページ数はおよそ300で、途中に挟まれる、現地の漁港や子供たちのカラー写真はどれもが「日々を生きている力」ともいうべき、飾り気のない美しさをたたえていて、近頃、怠惰な自粛生活を送っていた私にはとても眩しく感じられました。

 自粛期間はお世話になりました

  椎名誠と聞いて、私が真っ先に思い浮べるのが、「怪しい探検隊」シリーズです。多くの人は「岳物語」をイメージするのでしょうか?「怪しい探検隊」は、小学校低学年の頃、父の本棚にあるの見つけ、手に取ったのが出会いである、昔からの愛読書です。なんといっても「釣り」「酒」「キャンプファイヤー」の描写が魅力的で、私も将来、お酒を飲みながら釣りをして過ごしたいなあと、子供ながら憧れていました。また、コロナウイルスに依る自粛期間は、旅のエッセイなどを読みまくって、外出したいという欲求を押さえつけていましたが、「怪しい探検隊」シリーズは、その筆頭格でした。読んでいると、自身も宴会に参加しているような高揚感が湧いてくる、愉快な作品でありました。

海の幸がたくさん!

 今作は、非常に「食」の描写が多いです。筆者の大好物であるハガツオをはじめ、タイやアナゴ、カンパチ、カサゴ、アワビやズワイガニアオリイカ、鋸ガザ三などの海鮮界における錚々たる顔ぶれが並びます。最後のガザ三ですが、日本では「ワタリガニ」の名称の方が有名かもしれませんね。イタリアンレストランで「ワタリガニのパスタ」はよく見かけても「ガザ三のパスタ」なんて表記は見たことがありません。

 また、著者のエッセイに登場する料理は、極めてシンプルなものが多いと思います。捕れたばかりの新鮮な海の幸を、醤油や塩などをぶっかけて生で喰うというのは、ある意味最高の贅沢なのかもしれません。都心では、最上級の鮮度の魚介には、滅多にお目にかかれませんから。

 

それでは、良い読書ライフをお過ごしください