泥の本棚

日々の読書の感想や、得られた知見等を書き連ねます。

横浜市民は必見⁈ 横浜市全域が舞台  自分の居住区の土地神を応援しよう‼ 蜂須賀敬明『横浜大戦争』 


 本日ご紹介するのは、蜂須賀敬明著『横浜大戦争』です。

 

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  横浜市のそれぞれの区を担当する「土地神」が、横浜の中心地を決めるために「横浜大戦争」という熾烈な争いを繰り広げる、といった内容です。400ページほどの作品でしたが、読みやすい文体でしたので大体3時間くらいで読み終わりました。

 横浜が舞台であることから、横浜市民からの関心は非常に高く、有隣堂横浜駅西口ジョイナス店では、週間売り上げ総合第1位に輝いたこともあるようです。実は、私も横浜住みでございまして、書店でこの小説の広告とあらすじを目にし、「ウチの区の土地神様はどのように描かれているのだろう?」と、たまらなく好奇心刺激され、即決で購入してしまいまったクチです。「ジャケ買い」とは、少し違うのかもしれませんが、本屋さんで、衝動的に購入するのはとても楽しいですね。

横浜の「名所」が盛りだくさん‼

 「横浜大戦争」の名にそぐわず、横浜のあらゆるスポットが舞台となっています。物語はランドマークタワー68階のレストランで始まり、その後も、こどもの国や野毛山公園、横浜ベイブリッジなど、横浜市民にはなじみの深い、「名所」が続々と登場します。また、既に閉業してしまっている、戸塚のドリームランドも描かれており、懐かしさを感じる方も中にはいらっしゃるかもしれません。

 非常にキャラの濃い土地神たち

  「横浜大戦争」に身を投じることとなる、土地神たちですが、それぞれの区の特徴に合わせたキャラクター付けがされており、これがまた痛烈なものとなっています。さらに、土地神たちは一人につき一つ、「神器」と呼ばれる、マジックアイテムのようなものを所持しているのですが(封神演義宝貝のようなもの)これも区や、その地域の施設を反映したものになっています。私は、バラエティーに富んだ登場人物らの個性がこの作品の一番の魅力であると感じました。横浜をよく知っている方であれば、この区はどんな描かれ方をするのかなあと想像しながら読むことをお勧めします。横浜というとランドマークタワーやみなとみらいを擁する西区ばかりを思い浮かべがちですが、この作品では18ある区すべてにスポットライトが当てられていて、普段は知ることのできない、新しい横浜の側面に気付くことができるのもこの作品の魅力のひとつです。

横浜の区制やその歴史を学べるという側面も

 

 そもそも、この小説を読むまで、私は横浜市の区の数が18であることを把握していませんでした。また、港南区が南区から分かれた地域であるということも初耳で、20年近く住んでいても、知らないことはたくさんあるのだなあ、と痛感させられました。その後、この本を読み終えてから、18区を暗唱してみたのですが、なんとすべて覚えられていました!昨今は、元素を擬人化して暗記するテキストなどが存在しますが、それに近いものがありました。

  それではみなさん、良い読書ライフお過ごしください